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■映画「マルセリーノ・パーネヴィーノ」

「マルセリーノ・パーネヴィーノ」(1991年)は、75歳の名匠ルイジ・コメンチーニ監督が「汚れなき悪戯」(1955年、ラディスラオ・バホダ監督)をリメイクした作品。修道院で育った孤児がキリスト像とともに昇天したという民間伝承「マルセリーノ・パーネヴィーノ」は、14世紀のイタリア・ウンブリア地方で起こったと言われる。映画では舞台を17世紀に移した。

いずれの時代にも、戦時下の修道院はシェルターとして利用され、多くの孤児たちがそこで育てられたという時代背景があればこそ、孤児の昇天という奇蹟がリアリティを持つ。映画では、冒頭で戦火を描いているものの、その後戦争の悲惨さはほとんど登場しない。マルセリーノを見つけ、育てる修道士たちの優しい姿を中心に描かれる。

マルセリーノ役ニコロ・パオルッチ少年は、本当に愛くるしい。さわやかな笑顔に哀しげな瞳が印象的だ。ただ、厳しい戦争の時代と修道院の中の平和、大人の狡猾さと子供の無垢さという対比が十分に生かされず、甘いファンタジーに仕上がっているのが物足りない。しかし、老境を迎えたルイジ・コメンチーニ監督が、自らの癒しを込めて奇蹟を美しい映画を撮ったと考えれば、納得がいく。

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Japan, Sapporo
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