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■映画「ザ・ハリケーン」

「ザ・ハリケーン」(ノーマン・ジュイソン監督)は、本格的な社会派作品。プロ・ボクサーのルービン・カーターが、警察の人種差別と証拠のねつ造によって殺人犯にでっち上げられ、22年かけて無罪を勝ち取るまでの感動作。2時間半近い長篇だが、ストーリーの運びは淀みがない。

ボブ・ディランの「ハリケーン」で有名なように、実話である。アメリカは、今もずさんさな裁判によって、無実の人が何百人も死刑になり続けている国だ。無実にもかかわらず、犯人として死刑を執行される人間の気持ちを想像すると、身震いするほど恐ろしい。

ルービン・カーターも、検察の求刑通り「死刑判決」が出ていたら、世界に真実を知らせる前に殺されていたかも知れない。彼は、プロ・ボクサーとして有名だったので、本を出版でき社会の注目を集めたが、多くの人たちには、真実を広める手段さえない。

ルービン・カーターを演じるのは、デンゼル・ワシントン。みずから役をかって出ただけに、いつも以上に熱がこもっていた。特訓したとはいえ、ボクシング・シーンの迫力には驚かされる。

カーターの本を読んで感動し、カナダ人たちの救援を実現するきっかけとなる青年レズラ役のヴィゼラス・レオン・シャノンも印象的だが、デンゼル・ワシントンの気迫の前では、影が薄くなる。でっちあげを行った警察、真実をさぐり無罪判決に導くカナダ人たち、その双方の掘り下げが不足しているので、いやでもカーターだけが全面に出てしまっていた。

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Japan, Sapporo
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